こんにちは。事業再生コンサルタントをしております安岡です。
今日も、事業再生に取り組むために必要な経営者の心構えについて、少しお話させてください。
会社をここまで成長させてきたのは、間違いなく経営者であるあなたです。
幾多の困難を乗り越えて、築き上げてきた実績。その「自負」こそが、経営者の原動力だったはずです。
しかし、事業再生という非常に厳しい現実を前にした時、その過去の成功体験が、会社の「足枷」に変わることがあります。
「いままでこうやってきた。あの時のうまく行ったやり方を再びやれば、必ずうまくいく」
「今流行りのやり方ではダメだ。俺たちのやり方を続けていれば、必ず復活できる」
もし、あなたの心の中にこのような声が聞こえるなら、危険信号です。時代は変わり、顧客の価値観も変わりました。「かつての正解」が、「今の不正解」になっていることに気づかなければ、会社は沈んでしまいます。
今回は、最も難しく、最も痛みを伴う「あなた自身の自己変革」についてお話しします。
なぜ、優秀な経営者ほど「変われない」のか?
経営不振に陥る原因の多くは、実は外部環境の変化そのものではありません。「環境の変化に対応できなかった内部の硬直化」にあります。そして、その硬直化の震源地は、往々にして社長にあります。
これを心理学で「現状維持バイアス」や「確証バイアス」と呼びます。人間は、過去に成功したやり方に固執し、自分の信念に都合の良い情報ばかりを集めてしまう生き物です。
特に、強烈な成功体験を持つカリスマ経営者ほど、この傾向は強くなります。過去の否定は、自分自身の人生の否定のように感じてしまうからです。
事例:職人の誇りが、効率化の壁になった瞬間
今回は、老舗和菓子店のA社長(二代目)の話の事例を紹介しましょう。
A社長は先代から受け継いだ「職人の手仕事による本物の味」に強い誇りを持っていました。それがブランドの核心であり、過去の成長の源泉でした。
しかし、赤字が続く中で外部の専門家が提案したのは、製造工程の一部機械化による省力化・品質の平準化と、ITツールによる在庫管理の導入でした。A社長は納得できませんでした。猛反発しました。「魂を売るような真似はできない」「機械で作ったものなど客は見抜く」と。
現実は残酷でした。データを見れば、手作業による歩留まりの悪さと、過剰在庫による廃棄ロスが利益を圧迫しているのは明らかでした。
さらに、顧客アンケートでは「味は良いが、価格が高すぎる」「欲しい時にいつも品切れ」という声が溢れていました。
A社長は、「職人の誇り」を守るあまり、「会社と従業員を守る」という経営者本来の使命を見失っていました。
自己変革のための3つのステップ
A社長は、どのようにして変わることができたのでしょうか。再生の現場で私たちが実践するステップは以下の通りです。
(ステップ1)「過去の否定」を言語化する
A社長には、幹部社員の前でこう宣言してもらいました。
「私の『職人仕事・手仕事へのこだわり』が、今の会社の足を引っ張っていた。申し訳なかった。これからは例外なく変えていく。自分自身が変わっていく。」
自らの口で過去を否定することで、退路を断つのです。
(ステップ2)「無知の知」を受け入れ、他者の声を聞く
経営者として日進月歩で学ぶ姿勢が必要です。例えば、自分が知らない新しい技術や手法について、素直に教えを請う姿勢が必要です。A社長は、ITに詳しい社員を募り、プロジェクトグループに抜擢し、彼らの意見を徹底的に聞くことから始めました。
(ステップ3)社長自身の行動を変える
最も強力なメッセージとなるのは、社長の行動です。A社長は、これまでほとんど顔を出さなかった製造ラインの効率化会議に毎回出席し、自らが率先して新しい機械の操作方法を学び始めました。
経営者が変われば、社員の目の色が変わる
社長が自らの過去を否定し、汗をかいて変わろうとする姿を見て、社員たちはどう思うでしょうか?
「あの頑固だった社長が、ここまでやるのか……」
その衝撃は、どんな立派な経営計画書よりも雄弁に、会社の危機と変革の本気度を伝えます。
A社長の変化を見て、現場の職人たちも「社長がそこまで言うなら、動くなら、俺たちも、経営改革に協力しよう、やれることはやろう!」と動き出したのです。
結論:痛みを伴う変革、一人で抱え込まないでください
過去の成功体験を自ら手放すことは、身を切るような痛みを伴います。恐怖心も湧いてくるでしょう。だからこそ、一人で抱え込まないでください。
私たちのような外部の専門家は、あなたの過去を否定するためにいるのではありません。あなたが大切にしてきた「会社の魂」を守りつつ、時代に合わせて「高収益体質」へと変革をサポートするために存在します。
「昔のやり方が通用しなくなった」と感じたら、それが変革の合図です。一緒に、新しい時代の勝ちパターンを探しに行きましょう。
安岡 和孝
事業再生コンサルタント、中小企業診断士。
赤字企業や債務超過に悩む中小企業の立て直しを専門とし、これまで多数の経営者とともに「どん底からの生還」をサポート。現場主義を貫き、数字と心の両面から経営者を支える伴走型支援に定評がある。
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