
私はこれまで、複数の出版社から本を出してきました。
その一つが「秀和システム」です。資格や実用書で広く知られる老舗出版社ですが、今年7月に破産開始決定を受けました。
ニュースを目にしたとき、かつて自分の本を出版してくれた会社が破産に至ったということにびっくりしました。
背景には、出版不況だけではなく、M&Aによる事業多角化があったようです。
船井電機やミュゼプラチナムといった畑違いの企業を次々と買収しましたが、これによって結果的に本業の出版事業を軽視し、経営資源が分散してしまった。
資金繰りは悪化し、負債が積み重なり、最終的に経営は行き詰まりました。
通常であれば、ここで物語は終わりを迎えてしまいます。
しかし今回は違いました。終わりに見えたその先に、新たな動きがあったのです。
それが、新会社「秀和システム新社」の誕生です。
旧会社に残された負債を切り離しつつ、出版というコア事業を引き継ぎました。
さらに、多くの元従業員が新会社に雇用され、雇用の継続も守られています。
これはまさに、私たちが得意としてきた「第二会社方式」の仕組みそのものです。
第二会社方式は「終わり」ではなく「再出発」のための手法です。
借金の重荷を背負い込んだままでは事業を続けられない。
しかし、経営者が守りたい本業と従業員・顧客への価値提供は、新しい器で存続できる。
今回の秀和システムの事例は、そのリアルな証明だといえます。
かつて本を出させていただいた秀和システムが、第二会社方式を選んで再出発したことは、私にとっても大きな希望を感じさせる出来事でした。
経営危機に直面している経営者の方は、「もう事業を畳むしか選択肢がない」とギリギリの所で頭を悩ませているかもしれません。しかし、守るべき事業を残し、従業員の雇用を守りながら、再スタートを切る道は必ずあります。
どうか諦める前に、専門家へご相談ください。
第二会社方式という選択肢は、あなたの会社にも未来を残すことができるのです。