全東信が公式Q&Aを公開未入金のカード売上は「破産債権」に

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OSIRIS BUSINESS COLUMN

2026.07.13 | CASH FLOW

全東信が公式Q&Aを公開
未入金のカード売上は
「破産債権」に

カード売上は入金されるのか。端末は使い続けられるのか。2026年7月6日正午以降の決済はどうなるのか。公式Q&Aで明らかになった内容と、加盟店がいま確認すべき対応を解説します。

クレジットカード決済代行会社の株式会社全東信が破産手続開始決定を受けた問題で、破産管財人から「破産手続に関するよくあるご質問(Q&A)」が公開されました。

全東信は2026年7月6日正午、大阪地方裁判所から破産手続開始決定を受けています。今回の公式Q&Aでは、加盟店が最も知りたい未入金のカード売上、カード端末、破産手続開始後の決済などについて回答が示されました。

THE MOST IMPORTANT POINT

公式Q&Aによると、破産手続開始前の売上であっても、全東信からまだ立替払いを受けていないものは、従来の入金日には支払われません。

01

未入金のカード売上は、従来の入金日には支払われない

公式Q&Aで最も重要なのが、未入金となっているクレジットカード売上の扱いです。

破産手続開始前に全東信のサービスを利用して決済を行ったものの、破産手続開始までに全東信から立替払いを受けていない売上金は、法律上、破産手続における「破産債権」として取り扱われます。

全東信が従来約束していた入金日には、支払われません。

将来、全東信の財産を調査した結果、債権者への配当が可能と判断された場合には、改めて債権届出などの手続が案内される予定です。

お客様のカード決済は完了している

帳簿上は売上が計上されている

しかし、予定していた日に現金が入ってこない

飲食店をはじめとする中小企業では、日々、仕入代金、人件費、家賃、光熱費、税金、社会保険料などの支払いが発生します。

売上があるように見えても、口座に現金が入らなければ、支払いに充てることはできません。

本当に怖いのは、入ってくる予定だった現金が突然止まり、会社全体の資金繰りが崩れることです。

02

「破産債権」になっても、全額戻るとは限らない

破産手続とは、裁判所が選任した破産管財人が会社の財産を調査・換価し、法律上の順位などに従って債権者へ分配する手続です。

破産債権として扱われたからといって、未入金の売上が全額戻ってくるとは限りません。そもそも配当が行われるかどうかも、現時点では分かっていません。

公式Q&Aでも、次の点はまだ明らかにされていません。

配当があるのか

配当率が何%になるのか

いつ配当されるのか

当面は、未入金額を回収できない可能性も考慮して、今後の支払い計画を作り直す必要があります。

03

全東信のカード端末は使用できない

全東信と加盟店との間のクレジットカード決済代行サービスや付帯サービスは、破産手続開始により中止されています。

公式Q&Aでは、全東信のクレジットカード端末について、今後一切使用することができないと明記されています。

端末が動いても使用しない

仮に端末の電源が入り、画面上で操作できたとしても、正常に決済され、加盟店へ入金されることを意味するものではありません。

端末の使用を直ちに停止し、すべての店舗とスタッフに使用禁止を周知してください。誤使用を防ぐため、端末に「使用禁止」と表示し、通常のレジ周辺から分けて保管することも有効です。

なお、全東信から貸与されている端末を返却する必要があるかについては、公式Q&Aでは、今後ホームページなどで案内するとされています。現時点では自己判断で処分せず、そのまま保管しておくのが安全です。

04

7月6日正午以降の決済は、まだ具体的な扱いが示されていない

全東信が破産手続開始決定を受けたのは、2026年7月6日正午です。

公式Q&Aでは、同日正午以降に全東信のカード端末を使用して行った決済について、今後ホームページなどで連絡するとされています。現時点では、具体的な扱いは明らかになっていません。

2026年7月6日正午より前の決済

2026年7月6日正午以降の決済

同日正午以降に取消し・返金処理を行った決済

入金状況を確認できている決済

売上票、レシート、決済データ、利用明細などは破棄せず、対象期間ごとに分けて保存しておきましょう。

05

今後カード決済を続けるには、新たな契約が必要

全東信のサービスは終了しているため、今後もクレジットカードを取り扱うには、原則として別のカード会社や決済代行会社と改めて加盟店契約を結ぶ必要があります。

新しいサービスの審査や端末設置には時間がかかる場合があります。現金、銀行振込、QRコード決済など、現在利用できる支払方法を店頭、ホームページ、予約サイト、SNSなどで早めに案内しましょう。

ただし、焦って代替業者を選ぶのも危険です。手数料の安さだけではなく、運営会社の信用力、入金サイクル、売上金の管理方法、解約条件、チャージバック時の対応なども確認してください。

新しい決済会社は「手数料」だけでなく、「売上金を安心して預けられる相手か」という視点で選ぶ必要があります。

06

債権者集会や説明会は、現在のところ開催予定なし

公式Q&Aによると、現在のところ、債権者集会や債権者説明会が開催される予定はありません。

債権者への情報提供は、全東信の公式ホームページを通じて行われる予定です。通知の発送にも一定の期間を要すると説明されています。

通知がすぐに届かなくても、公式サイトを定期的に確認し、自社の未入金額と決済記録を先に確認しておきましょう。

07

加盟店が今すぐすべき8つの対応

全東信を利用していた加盟店は、次の対応を急ぐ必要があります。

全東信の端末を直ちに使用停止する

端末が作動しても使用せず、すべての店舗とスタッフに使用禁止を伝えます。

最後に入金された日と金額を確認する

銀行口座の履歴と売上明細を照合し、どの期間の売上まで入金されているか確認します。

未入金のカード売上を集計する

店舗別、日付別、決済方法別に未入金額を算出し、予定されていた入金日も一覧にします。

7月6日正午の前後で決済を分ける

正午以降の決済は扱いが決まっていないため、時間帯を確認して分けて保存します。

契約書や決済記録を保存する

契約書、売上票、入金明細、請求書、メール、管理画面の記録などを早めに保存します。

代替となる決済方法を確保する

別の決済サービスへの申込みを進め、当面利用できる支払方法をお客様に案内します。

今後1~3か月の資金繰りを作り直す

未入金分が当面回収できないものとして、預金、給与、仕入れ、家賃、借入返済、税金などを確認します。

資金が不足する前に相談する

資金不足が見込まれる場合には、状況に応じて、金融機関、仕入先、税務署、年金事務所、事業再生の専門家などへ、支払期限を過ぎる前に相談することを検討します。

08

「売上がある」と「現金がある」は同じではない

今回の全東信の破産は、利用していた加盟店だけの問題ではありません。すべての中小企業にとって、重要な教訓があります。

売上が発生したことと、会社の口座に現金が入ったことは同じではありません。

カード売上、売掛金、補助金、保険金、工事代金などは、実際に入金されるまでは自由に使える現金ではありません。

一つの決済会社や取引先に売上が集中している会社、入金までの期間が長い会社、預金に余裕がない会社では、一度の入金停止が事業継続を揺るがします。

09

入金停止は「赤字」とは違う形で会社を倒す

会社は、赤字になった瞬間に倒産するわけではありません。利益が出ていても、支払日に必要な現金を用意できなければ、事業を続けられなくなることがあります。

全東信を利用していた加盟店では、予定していた日に現金が入らなくなりました。しかし、給与、仕入代金、家賃、税金などの支払日は変わりません。

未入金額だけではなく、「いつ資金が足りなくなるのか」「何の支払いができなくなるのか」「営業継続にいくら必要なのか」を早急に確認することが重要です。

10

会社を守るための相談は、決断する前でもよい

事業再生の相談というと、「会社を畳むことを決めてから相談するもの」「借金が返せなくなってから相談するもの」と思われがちです。

しかし、実際には、会社の資金が尽きる前ほど検討できる選択肢は多くなります。

「まだ支払いはできているが、このままでは数週間後、数か月後に資金が足りなくなるかもしれない」と感じた段階で、今後の可能性を探ることが大切です。

この記事のポイント

いま必要なのは、入金を待ち続けることではありません。未入金を前提に資金繰りを作り直し、資金不足が予測される場合には、早い段階で可能性を探ることです。

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未入金をきっかけに、会社全体の資金繰りや債務負担を見直す必要がある場合には、事業を残すための選択肢として第二会社方式を検討できることがあります。事業再生相談センターでは、会社の状況を確認し、第二会社方式を含む事業再生の可能性を一緒に検討しています。

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